セクハラポスターの件。②
「※ただし、イケメンに限る」
コレはセクハラ問題において、冗談では済まされない意味を持つフレーズである。
実際、セクハラの定義は恐ろしく曖昧で
「イケメン君には是非やられたい(言われたい)けど、上司のハゲがやったらセクハラ」
みたいなトコロもあり、現行法では明確な線引きが難しい。
それゆえ、オッサンの中で勝手な線引きをしてしまい
結果として、無自覚なままに加害者となるケースも少なくない。
今回のポスターは、まさにそんな【無自覚犯(または潜在的加害者)】への訴えかけを目的としたモノなのだと、私は捉えている。
例えば飲酒運転などは、その多くが
「悪いコトだとは分かってるけど、つい出来心で」
というパターンで発生する。
つまり、本人にはハッキリと違法行為の自覚があり
ただ、それが引き起こす結果(被害)を、甘く考えていたダケなのである。
そういう【ウッカリ犯】の人達に訴えかけるポスターならば
問題の深刻さや、結果(被害)の重大さをアピールするのが正解であろう。
しかし、今回は違うのである。
今でもセクハラの【悪質犯】はゴマンといるし
酒の席などでの【ウッカリ犯】も、珍しくはない。
しかし増加傾向にあるのは、【無自覚犯】なのである。
「ボディータッチとかしてないからセーフ」
「フレンドリーに話しかけるし、下ネタも言わない。俺って爽やかナイスミドル」
などと自らの線引きで行動し、“地雷”を踏みまくっているコトに気づかない【無自覚犯】や、今にも踏みそうな【潜在的加害者】。
こういう人達に問題の深刻さを訴えるほど、ムダな事はない。
「俺セクハラとかしないし、関係ないわ」
「うわマジかー、セクハラとかするオッサンて最低だなー」
と、他人事にしか思われないからである。
だから、あのポスターなのである。
自分は無関係と思い込んでいる人達に
『これもセクハラ?』
というフレーズで問題の難しさ、危うさを認識させ、その次に
「だって、ソレ決めるのは相手だからね?」
と、理由を述べる。
そうやって【潜在的加害者】を“顕在化”させないように働きかけるコトで、被害を未然に防ごうとしているのだから
ネットで上がっているような批判のほとんどは、的ハズレとしか言いようがないのである。
もしかしたら幹久クンは、同じ顔でこう言いたかったかも知れない。
『これにクレーム?』
と。