“お隣さん”の件⑤
物事の多くには、ルールが存在する。
前述の【イス取りゲーム】にしても然りで、“鍔迫り合い”もルールの範疇であり
「同時にお尻が乗っている」
からこそ起こるイベントで、またそれが最低条件である。
それなのに、先に座った子の髪を引っ張り、引きずり下ろしてイスを奪うような子がいたら?
“お隣のK君”は言わば、そんな子である。
N君は批難する。
周囲の友達も咎めようとする。
しかしK君は、コレは自分のイスだと譲らない。
イスにしがみついて泣き、あるいはイスの脚を持って振り回し、威嚇する。
それを止めるべく腕を掴もうとすると
「痛い痛い暴力反対!謝れ!謝れよ!!!」
と喚き散らし、あまつさえ体育館に集まっている他のクラスの子供達に対しても
「N君達は無抵抗な僕に10人がかりで暴行しました!その証拠に服がシワになりました!」
とか叫んで回る。
そんなK君に向かって
「その言い方はおかしいぞ!ちゃんと話し合えよぅ!」
と、柔らかい言葉で説得し続けるコトに、どれほどの意味があるのだろう?
イスの脚に残った“指紋”だって、K君のソレと照合せず公表するコトに、どれほどの意味があるのだろう?
「外交」というモノは、単純な善悪の2元論などでは語れない。
それぐらいは無学な私でも想像できるけれど
それにしても、もう少し他に手段はないのだろうか?
とりあえずK君との協議は諦めたみたいだけれど
それならそれで、騒ぎを見守る“他のクラスの子供達”に対して
もっと明確で詳細な経緯説明をするべきなんじゃないのかと。
K君が吐いてきた多くの嘘についても、なるべく具体的な証拠を、なおかつ時系列に沿って1つずつ提示し
自らの正当性を、キチンと主張するべきなんじゃないのかと。
それは幼稚な言い争いでも、みっともない罵り合いでもなく
むしろ「果たすべき“説明責任”」なんじゃないのかと
私は、そう思うのである。